仮装クイーンは誰?

 本当はハロウィンの頃に読みたかった『Sylvia Jean, the Drama Queen』。ちょっと遅ればせで子どもたちと読む。
 ぶたのシルビア・ジーンは仮装が大好き。どんな状況にもそれにぴったりの服装があると思っているから、いつでもどこでも毎日、できごとに合わせて仮装して登場する。歯医者さんには勇気が出るようにとスーパーヒーロー、バレエのクラスには白鳥、映画館には有名スター。それは家でも同じこと。パパが風邪をひけば看護婦さん、弟が泣いていればピエロさん、ママが庭仕事をするときはミツバチちゃんになった。そんなシルビア・ジーンが仮装コンテストのニュースを聞き、歓喜しないはずがない。今までになかったような姿でみんなを驚かせようと彼女は大張り切りだったけれど、何になればいいんだろう……。
 何だか、お洒落に夢中になる人たち……というより、外見ばかり気にする人たち……に読んでもらってもいいようなお話だった。よくもまあ、これだけ違った服装ができるなあ……と、何でも与えてしまう両親の姿勢を冷ややかに見つめてしまったけれど。シルビア・ジーンが最後に気づくことは大切なこと。でも、気づくまでの過程って、こういうマテリアリズムに囲まれていないとだめなのかなあ。そこが親として気になるところ。そうでなくとも気づける子どもはいるし、たぶん一生気づけない人もいるんだろう。
 でも、ときにはこんなお洒落というか仮装も楽しいね。娘も息子も、いろんな仮装の姿を楽しんでいた模様。(asukab)

Sylvia Jean, the Drama Queen

Sylvia Jean, the Drama Queen