仲良し2羽のクリスマス

 息子の関心ごと……ジャズ、イタリア車、女の子のこと……。あれほど女の子がらみの話題を嫌がっていた彼が、今では友だちと女の子の話題で盛り上がっている、へえ〜。じゃあ、ということでハービーとロッティーのクリスマス絵本『ハービーのないしょのサンタ (ロッティーとハービー)』を息子に読む。
 あひるのハービーとにわとりのロッティーは、恋人同士。クリスマスムードでにぎわう街に繰り出し、ケーキ屋さんにも立ち寄ることに。ふとしたことからハービーは自分にそっくりな形のクッキーに魅せられ、思わず手を伸ばし、一口かじってしまい……。結果、罪の意識にさいなまれることになる。いけないとわかっていながらも食べてしまう瞬間、その後あやまろうと思っても実行できずに苦しむ経過を通して、展開はハービーの心理状態を追っていく。
 おとぼけハービーと人のいいロッティー。ジャズバンド・ピアノ奏者の6年生に思いを寄せているという息子のために選んで読んだけど、母のもくろみは伝わっただろうか。
 本シリーズは、おかしさとペーソスを伝えるイラストが1番の魅力かな。まだ息子が小さかった頃、手にしたブック・カタログのデザイン、イラストを担当していたのが作者マザーズだった。オレゴン州在住の地元作家ということで取り上げられ、ハービーずくめのカタログだったと思う。愛嬌たっぷりの姿がかわいくて「わたしはこういうイラストを描くのだ!」と誓い大切にとっておいたはずだったけれど、どうしただろう。トーンを落とした水彩のイラストと、ハービー、ロッティーの会話にご注目。(asukab)

ハービーのないしょのサンタ (ロッティーとハービー)

ハービーのないしょのサンタ (ロッティーとハービー)