わたしの色

 「赤」は自分にとり、特別な色。小さな頃は、名前の「すか」と色の「か」が無意識のうちに重なり合っていた。赤ずきんちゃんなど自分のことと思っていたほどなので、色の与えるイメージの強さには舌を巻く。
 その「赤」のイメージは、大人になっても変わっていない。振り返れば、今は亡き祖母から「赤が1番似合う」と言われ続けていたことが特別さに輪をかけたような気がする。服装の色は、茶系なら赤茶、紫系なら赤紫……で、やはり濃い目の赤。派手で明るく目立つ赤じゃなくて、抑えた赤、くすんだ赤、控えた赤である。
 そんな赤い色好きのわたしにぴったりのクリスマスプレゼントが届いた!……というか、ただ図書館で手にしただけの絵本なのだが、タイトルは『Carmine: A Little More Red (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))』。透明水彩の鮮やかな、かわいらしいABC絵本である。主人公の女の子は、絵の大好きなカーミン。邦訳したら「紅ちゃん」かな。お話は画家カーミンを赤ずきんちゃんに見立て、画材やアルファベット・スープ、愛犬が背景に登場して繰り広げられる。カーミンが小さな頃、アルファベット・スープを作りながらABCを教えてくれたのがおばあちゃんという設定で、物語ではスープを作るからいらっしゃいとおばあちゃんがカーミンを招待する。
 なになに、これってわたしの好きなものばかりじゃない。繰り返してしまえば、ABC、アート・画材、アルファベット・スープ、赤ずきん、おばあちゃん、犬、コラージュ。巻末に、スープの作り方が載っているし、おいしい絵本でもある。副題「A Little More Red」も、絵筆も、犬の足跡も、すべてわたし好みなのだった。アルファベットの言葉の選択が大人向けなので、子どもに読むというよりはわたしが喜ぶ絵本。
 クリスマス、クリスマス! 「赤」って、やっぱり特別な色。クリスマスを前に、すてきなプレゼントを受け取った気持ちになった。(asukab)

Carmine: A Little More Red (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))

Carmine: A Little More Red (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))