けっこうおめでたい

 『One Red Dot (Classic Collectible Pop-Up)』は、考えてみれば結構おめでたい、新年向きのポップアップ絵本かもしれない。
 まず、仕掛けということで、箱や波、バスケットなどあの手この手で視覚を刺激する立体形が飛び出し、驚き、楽しさが味わえる。棒や糸を使い回転やひねりを入れてシンプルな中に動きのおもしろさを表現しているので、見る芸術作品というよりさわって変化を楽しむ遊びの要素がかなり強いかな。加えて、これは1から10までの「数の絵本」。おまけに、主人公(……と呼んでしまうけれど)の赤い点が各見開きに隠れている「かくれんぼ絵本」でもあった。
 サブダ*1のポップアップを「目にして、ためいきをもらす作品」とすれば、こちらは「赤い点といっしょに遊ぶ作品」だろう。前者の恐竜ポップアップなど、「ここまでするの〜?」という完成度の高さだが、こちらはあえて単純の中に潜む興味を喚起してくれるような遊び心を持ち合わせている。
 「赤い点」は、「初日の出」から自分の中ではお正月のイメージになった。同じデザインで、たとえば赤以外白、金、黒、緑などに色を変えたら、かなり印象が変わるのではないか。というより、最初から日本のお正月を描くポップアップ絵本にすればいいのか。世界の文化別にポップアップ絵本ができたら、すてきだろうなあ。
 A Happy New Year! (asukab)

One Red Dot (Classic Collectible Pop-Up)

One Red Dot (Classic Collectible Pop-Up)