雪の森の写真絵本

 息子の新年の抱負が「エクストラ・クレジットの課題をすべてこなす」ということで感心していたら、主人から「親への受け狙い」と指摘され逆に納得する。中高時代の親子関係って後の人間形成に大きな影響を及ぼすというから、ここは親の要望だけでなく彼の気持ちも汲まなくてはいけないのだ。そこで、直面するのが授業選択について。来年度、音楽はオーケストラからジャズに移りたいらしい。クリスマスのR高ジャズコンサート以来、かなりジャズに魅了されているし、決断のときがやってくるとは思っていたけれど……。オーケストラの先生との関係が良好なだけに(「S先生が1番おもしろい!」など)残念だなあ。
 授業でジャズをやるとしたら、クラシックのほうは学外で室内楽かオーケストラに所属することになるだろう。根っからの音楽好きなので同時並行は問題ないけれど、ひっかかるのはスポーツとのスケジュール。芸術・スポーツは彼の持ち味なので、続けていないと彼らしさが失われてしまいそうだ。
 そんなこんなで先のことを考え、なんとなくぼんやりしながら娘と読んだ絵本は『Stranger in the Woods: A Photographic Fantasy (Nature)』。雪の森に現れた「ストレンジャー」を確かめようと動物たちがにわかに騒ぎ出す絵本は、雪と氷に包まれた美しい写真で構成される。合成処理もほどこされているけれど、森の住人たちの表情が無垢でしんと心に迫ってくる。休暇中、野生の鹿5匹に出会った風景もこんなだった。彼らはにんじんでなく、りんごを食べていたんだ。娘は、この「ストレンジャー」をとっても作りたそうにしていた。また雪が降ったら、こーんなに長いにんじんを使って作ってみよう。みかんとはまた違った表情になるね。 
 雪の白ににんじんのオレンジ、帽子やてぶくろ、カージナルの赤がくっきり鮮やかで、何だか心に灯を灯してくれる感じ。写真を眺めていたら、いつのまにか気持ちがほころんでいた。こういう動物の鳴き声が印象的な絵本は、いつか日本語で読んでみたい。(asukab)

Stranger in the Woods: A Photographic Fantasy (Nature)

Stranger in the Woods: A Photographic Fantasy (Nature)