嵐のあとに Lights Out

 一昨日の嵐が残していったもの――隣家との境にある木塀の破損。スクーターが今朝表通りをウロウロしていた理由がわかった。約3メートルにわたりぺたんと倒れている南塀を踏み歩き、外に出た結果だった。昨夜、彼といっしょにジョギング散歩に出かけたときは、135通りから北側が真っ暗で停電。幸いうちはピッと音を立てて電気が消え、1秒後にピッと同じ音で明るさが戻っていた。それも早朝のことだったから、あの区画ではほぼ1日中電気使用が不自由だったわけだ。少なくともスーパーボウル放映時までに復旧されるといいのだけれど。
 停電で思い出したのがガイサートの『Lights Out』(邦訳『あかりをけして』)。停電がテーマの絵本ではないのだけれど、暗がりが印象的に描かれるかわいい作品だ。
 こぶたくんの両親は、なかなか厳しい。息子が暗闇の中で眠りにつけないことを知っているのに、夜8時になると規則正しく電気を消し「おやすみなさい」――。そんな状況のこぶたくんが両親から「ひとりで眠れるように、なにか考えてみたら」と言われ、よーしそれなら!とお得意の計画に乗り出した。
 文章は中表紙にあるのみで、あとはイラストが語る絵本である。その語られるイラストとは……、力学を応用した壮大な構想のからくり大仕掛け。天井から下がる紐を引っ張ると、屋根裏から、屋根、雨どい、庭を通って地下室へと通じる、物理の作用を駆使した仕掛けが動き出す。てこ、滑車、おもりを利用して……、ああ、こぶたくんって、物理と数学が得意なんだなとすぐわかる。部屋中に張り出した設計図のとおり、果たして計画は成功するのだろうか。
 息子が喜びそうと思ったら、主人も夢中になっていた。最後の見開きに、家の構造図といっしょに番号付きで作中の力学作用のおさらいが登場し、何がどう動いたのか確かめられる。電気の消えた部屋で安らかに眠るこぶたくんを見て、読者もひと安心といったところ。仕掛けの工夫には笑いがこぼれちゃうかも。よくもまあ、うまくいくものだと――もちろん、フィクションだからだけど――感心。こぶたくんのアイデアに脱帽の1冊だった。
 スーパーボウル惜敗、涙。判定が不公平と感じたのは、わたしだけじゃないと思うな。どうも東海岸チームびいきの雰囲気。もし最初のタッチダウンが取り消されていなければ、まったく違う試合展開になっていたはず。数字も勢いもシアトルのほうが、ずっとよかったもの。後々あの審判のあの判定(他にもあるけど、特に最初の取り消し)については、当地で語り継がれていくだろう。バッド・コールの連続だった。
 ローリングストーンズのハーフタイムショーは最高。ミック・ジャガーも、キース・リチャーズも変わっていない。これだけ長くいっしょに、しかも同じ体型と歌声で続けているって……、主人といっしょにただただ感動していた。やっぱりブリティッシュだなと思う。サティスファクションを歌い終えて、みんなで肩を組んだ姿なんてとても上品だった。
 NFLのオープニング・コマーシャルがスースの『Oh, the Places You'll Go! (Classic Seuss)』(邦訳『きみの行く道』)をベースにハリソン・フォードが語る内容ですてきだった。その中で久しぶりにジョー・モンタナを見た。(asukab)

  • イラストが大仕掛けを語る、(ほぼ)文字なし絵本

あかりをけして

あかりをけして