くまくんおきて!

 金曜日のブック・ギビングで娘が春の絵本を探していた。最初に冬の絵本『Stella, Queen of the Snow (Stella Series)』(邦訳『ゆきのひのステラ』)を手にとり、「春の絵本がいいなあ」とつぶやきながら別の本を手にする。結局、家に持ってきたのはハトさんシリーズ笑劇絵本『Don't Let the Pigeon Drive the Bus!』(邦訳『ハトにうんてんさせないで。 (にいるぶっくす)』)だった。
 なので、家では春の絵本――正確には春の訪れを伝える絵本――『くまくんおきて!』を読んだ。春になりたくさんの動物たちがくまくんを起こそうとするけれど、くまくんは結局「いびきを かいて ねているよ」のまま。でも、最後に予想外のできごとが起こる。くまの冬眠という設定はよく見かけるけれど、この絵本が特別なのは目の覚まし方がしゃれている点。なるほど、なるほど――。
 リンリー・ドッドの絵本は韻を踏んだリズムのいい文章が特徴なので、邦訳にもその流れが存分に取り込まれていた。動物たちの表情、背景にもご注目。
 わたしが音読を始めると、最初は遠くから眺めていた娘が近寄ってきて、後半はうれしそうに絵本をのぞきこむ。このリズム、やっぱりリズムがいいんだなあ。のんびりと、春の躍動感につながっていく。これは原書『Wake up, Bear (Picture Puffins)』でも同じ。
 寒いといっても、陽のやさしさは確実に春色おびている。4月から忙しくなるので、これを思うとちょっぴり足踏みしたくなる。(asukab)

くまくんおきて!

くまくんおきて!