赤ちゃんにはかなわない

 『Granite Baby』は、The Granite State(花崗岩の州)の愛称を持つニューハンプシャー州を舞台に繰り広げられるほら吹き話。ホークスの絵が好きなので読んでみた。
 ニューハンプシャー州花崗岩の岩盤が見つかったその昔、巨人の5姉妹が採石場を開いた。力持ちだったり、川の水を巻き上げたり、石を削ったり……と5人にはそれぞれ才能があり、すべて順風満帆の日々が続いていた。ところがある日、彫刻の得意なベリルが、ピンクのみかげ石から本物の赤ちゃんを削り出したところから困ったことが起きる。隣りのバーモント州にも響きわたる声で赤ちゃんが泣きはじめたのだ。「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ〜〜〜」――。天下無敵の様相で何でもこなした5人だったが、赤ちゃんのお世話にはほとほと手を焼くことに。どうやって泣き止ませたらいいのだろう。姉妹はそれぞれの得意技で取り組むけれど……。
 ご当地絵本ということで、ニューイングランドの地名がたくさん登場する。コネチカット川の水を持ち上げ擦り沸騰したお湯にしたり、ホワイト・マウンテン全域をじゅうたんをはらうように持ち上げたり、子どもにしてみたら興奮がいっぱいのシーンが続く。スケールが大きいので、イマジネーションがぐーんと広がるだろう。特に地元の子どもたちなんて、大喜びじゃないかな。赤ちゃんの泣き声も迫力で、「WAAA」の声(文字)が黒雲のようにたなびいている。なんだか蜂の大群のようにも見えるなあ。小さな赤ちゃんの大きな声がかわいくて、姉妹は四苦八苦なのに娘とわたしは笑ってしまった。
 ニューイングランド地方にゆかりのある人、赤ちゃんが生まれたばかりの人への贈り物にいい。(asukab)

Granite Baby

Granite Baby