はみだしっ子の羊

 なんだか「絵」ばかりで選んでいるけれど、『Santa's Littlest Helper』で好きになったウィルソン*1の『Brave Charlotte (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))』を読む。
 子羊のシャーロットは、小さな頃から他の羊たちと違っていた。いつも元気に駆け回り、ときには木の上に上ったり、川で泳いだりで牧羊犬を困らせる。シャーロットの無謀とも思える行動を見て年上の羊たちは呆れ顔だった。でも、羊飼いのおじいさんが怪我をしたとき、シャーロットは大切な働きをする。
 タイトルからストーリー展開が読めてしまうお話でも、イラストはやはり魅力的。むくむくふわふわの羊たち、羊飼いのおじいさん、かたわらの犬、彼らを見守る自然の表情……を見ているだけで落ち着いてしまう。ウィルソンの筆使いと色使いは目指したいところ。こういう厚塗りのイラストって、透明感のある水彩とは別のあたたかい力を秘める。
 羊たちのコミュニケーションの仕方がかわいかった。たしなめる羊たちの「Tut,tut,tut」とか、トラックの運転手の問いにうなずくシャーロットとか。原書はドイツ語。(asukab)

Brave Charlotte (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))

Brave Charlotte (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))

*1:邦訳に同サンタ・シリーズの『ちいさなサンタまちにいく』がある。