行って、戻るabc絵本

 26の言葉や文章でテーマやお話を語るabc絵本の中でも『Bad Kitty』は、ちょっぴり異色である。この黒猫ちゃん、タイトルには「いたずらねこ」とあるが、実は根はいい子。どうしていたずらになっちゃったのかといえば、それにはこんなわけがあった。
 「あら、キャット・フードがきれちゃったわねえ! あるものといえば 体にいい……Asparagus(アスパラガス)、Beets(ビーツ)、Cauliflower(カリフラワー)、Dill(ディル)……」と、野菜や豆の名前がずらりと並ぶ。これに気を悪くした黒猫は、いたずらしちゃえと猫が変わったように行動し始める。「Ate my homework.」「Bit Grandma.」「Clawed the curtains.」……。こうして悪事を働いた後、「ごちそう買ってきたわよ〜」の声が。すると、AからZまでの大好物「an Assortment of Anchovies(カタクチいわしの詰め合わせ)」「Buffalo Burritos(バッファローブリトー)」「Chicken Cheesecake(にわとりのチーズケーキ)」……――実は、まったく関係のないものや架空のものが混じっていて、ここが笑えたりするのだが――がずらり。これで気をよくした黒猫は、さっきの悪事のお詫びとして「Apologized to Granma.」「Bought me new toys.」「Cleaned her cat box.」……と、限りを尽くして償いをする。最後に再びハッピーキャットに戻るのだけど、おやおや、またまた大変なことが……。
 というわけで、全部で4種類のabcが行って戻るパレードのように登場する絵本である。英語の時制(過去形)学習に向いている。これで授業をしたら、盛り上がると思うな。このおかしさは、小さな子どもよりも小学生以上、大人向きだろうか。(asukab)

Bad Kitty

Bad Kitty