わたしがあかちゃんだったとき

 『わたしがあかちゃんだったとき』を読み終え、思わずほろり。主人公は女の子。でも、息子の誕生1年目とすべてが重なるので、知らぬ間に絵本と記憶が溶け合っていた。2月生まれで誕生日には雪がちらついていたこと、家に戻るとクロッカスが芽を出していてそのまま春になったこと……。作中のイラストが鮮やかに12年前を想起させてくれ、ページをめくる指が一月ごとの成長を追っていた。
 「それなあに?」「あかちゃんのおようふくよ」「あたしが あかちゃんだったときの?」「そうよ。こんなに ちいちゃかったのよ」――左ページにお母さんと女の子の会話風景、右ページに当時の様子が描かれる。赤ちゃんのお洋服といえば、今は娘のものを姪っ子たちに回しているけれど、息子のときはなかなか手放せなくて主人からあきれられていた。手作りや思い出深いものをのぞき、その後知人に譲りわたすまでかかった年月が足かけ10年。サイズと肌触りがどうしても手放せなかった理由を代弁していると思うけれど、これは言い訳かな。
 おくるみに包まれ、おっぱいを飲み、すやすや眠って、大泣き、おしめ交換。お風呂も懐かしいなあ。家での産湯はキッチンの流し場だったんだ。その後、おすわり、離乳食、おなべをたたいて、歩き始め……と1年目は赤ちゃんも親も手探りで新しいこと大発見。
 アルバムを開くような懐かしさと愛おしさに包まれる絵本である。女の子の3歳のお誕生プレゼントに最適。(asukab)

  • 邦訳の書影がないので、原書ペーパーバックで

When I Was a Baby

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