ぐらぐらの歯
歯がぐらぐらして、うれしくてしかたのない娘。そこで、『ぐらぐらの歯 (世界傑作童話シリーズ)』から同名のお話を読む。
りんごをかじり歯がぐらつき始めたきかんぼのちいちゃな妹は、ぐらぐらの歯がうれしくてしかたない。(娘といっしょ。)「ぐらぐらのままにしておいて、人にみせるのがすきなの」と得意げだったが、窓拭き屋さんから「歯を見てくれたり歯を作ってくれるという歯医者さん」の話を聞いて興味が湧き、「歯医者さんに行きたあい!」と泣き出した。こうしておかあさんといっしょに歯医者さんに行った妹は……。
このエピソードはそれほどでもないけれど、それにしても何というきかんぼちゃんぶりなんだろう! お魚つりに行ってずっと泣きわめいていたり、お姉ちゃんの大切な妖精のお人形(陶製)を放り投げちゃったり、サンタさんにかみついちゃったり。最後のエピソードはとってもおりこうさんだったので、ほっと安心できたけど。親として読めばハラハラ、ドキドキの連続。でも裏を返せば子どもの発想、視線がまぶしく感じられるお話集である。娘はりんごをかじって歯がぐらぐらし始めるところ、ぐらぐらを自慢したいところ、歯医者さんが大好きなところ、すべてに共感していた。
ところで、このきかんぼの妹はいったい何歳なのか。挿し絵の印象から1歳半から3歳ぐらいに見えるのだが、歯が抜けたり、マフラーを編んだりするのだから、少なくとも5歳ぐらいのはず。イラストが少し幼いので、ここは原書シャーリー・ヒューズの描いたきかんぼちゃんのほうがお話に合っているかもしれない。でも、酒井駒子さんのイラストは好き。『ロンパーちゃんとふうせん』でも幼く見えたなあ。この年頃がお得意なんだろう。(asukab)
amazon:酒井駒子
- 作者: ドロシーエドワーズ,酒井駒子,Dorothy Edwards,渡辺茂男
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2005/11/25
- メディア: 単行本
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