クマ クマ、クマがいっぱい!

 1年生になってから娘の背丈が急に伸び、女の子から少女になった印象がある。あどけない表情はまだ残るけれど、もう幼い子どもでないことは確か。……一抹のさみしさがあったりして。何だか最近感じてしまうのである。子どもが成長したら、絵本と子どもとわたしの関係はどうなってしまうのだろう、と。
 だからなのかどうなのか、このところ選書は小さな頃になじんだ作品ばかり。今いっしょに読んでおかないと、たぶんもうずっと読まずに終ってしまうかもしれない。そんな気持ちを抱いてページを開く。
 『クマクマ、クマがいっぱい! (児童図書館・絵本の部屋)』(原書"Bears, Bears, Everywhere!"はペーパーバックでも重版未定の様子)は、タイトルのとおりクマがたくさん登場する絵本である。白くま、茶ぐま、黒くま、パンダ、巨大なクマ、小柄なクマ、おしゃれなクマ、赤ちゃんのクマ、カラフルなクマ……、(きっと世界中の)ありとあらゆるクマが勢ぞろい。クマ好きの女の子の願いがかなえられ、こんな光景が実現してしまったのだ。この絵本で楽しいのが、探しっこ遊び。「青くて黄色いリボンをしているクマ」「赤い帽子をかぶり、笑っているクマ」「青い靴下をはいているクマ」……を見つけてみようなどなど、もっと一緒に遊べばよかったな。
 テディベアに代表されるように、子どもとクマの関係は(こちらでは)密接だ。息子のテディは「白くまちゃん」、娘は「小さいくまちゃん」。それぞれ赤ちゃんのときにいただいたもので、少々汚れているけれどまだまだ健在のぬいぐるみである。この絵本を開くと、彼らのテディにまつわる思い出がぐーんとクローズアップされる。いまだにイラストの中から自分のクマを探そうとするから、子どもにしてもそれは同じこと? 
 クマが主人公になる絵本は多い。「四季の絵本手帖」のレビューで1作家1作品を選んでみたとき、予想通りクマ絵本が1番多かった。(2位犬、ねずみ、うさぎ、3位ゴリラ、とら、鳥、4位ライオン、ぶた)
 クレイグのペン運びが少し粗くて、初期の作品を思わせる。それでも、このクマ集団はやっぱり魅力だと思うな。まったく関係ないけれど、うちの愛犬は茶色いクマみたいなムクムクした顔をしているので、「コマイヌ」ならぬ「クマイヌ」の愛称を持つ。(asukab)
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クマクマ、クマがいっぱい! (児童図書館・絵本の部屋)

クマクマ、クマがいっぱい! (児童図書館・絵本の部屋)