カングル・ワングルのぼうし

 ヘレン・オクセンバリー初期の画風が楽しめる『カングル・ワングルのぼうし』を読んだ。あまり見かけない絵本なので、衣料品店内の書店で見つけたときは大感激。この本屋さん、駅前の大型書店よりもずっと品揃えがいい。親子連れの多い立地条件なので、必然的に児童書・絵本の棚が充実するのかもしれないなあ。面積も広かったし。
 この絵本には、摩訶不思議なものがたくさん登場する。「ホットケーキに そっくりの おいしいおかしの はをつけた クランペティの 木のうえに カングル・ワングルが すわっていた」――。冒頭の1文からして、なんて魅力的なんだろう。イラストの葉っぱはホットケーキ型の葉っぱ。そんな木の上に大きな帽子で顔が見えないカングル・ワングルが座っている。娘もわたしも、この1ページだけですいっとレースやすずやリボンで飾られた帽子の世界に入り込んでしまった。
 言葉遊びの王さまエドワード・リアの詩は、他の画家によっても絵本化されている。どれも愉快なイラストだと思うけれど、オクセンバリーとなればこのカングル・ワングルはやっぱり特別な1冊かな。(asukab)

  • 邦訳の書影がないので、原書で探してみたところオクセンバリー版は品切れ。なので他の画家による作品で

The Quangle Wangle's Hat

The Quangle Wangle's Hat