ぶん ぶん ぶるるん

 日本滞在中は、もちろん日本語の絵本ばかり。「ええー! イングリッシュ(の絵本のほう)がいい」という娘の反応は最近のお決まりなので、1学期の体験入学でそれがどう変わっていくか見守りたい。昨年ぐらいまでは、日英どちらでも構わないという感じだったのに。まあ、ここ1年での英語上達の反映と受け取ることにしよう。
 姪、娘といっしょに読んだ絵本に『ぶんぶんぶるるん』があった。1匹の蜂がおうしを刺したことから始まる、終りのないグルグル話である。表紙の登場人物たちはみなご機嫌ななめの様子。子どもってこういう表情にとても敏感に反応するから、ここからすでにお話に入り込んでいた。
 はっきりとした輪郭と鮮やかな色が特長のイラストは、それだけでも子どもを魅了する。加えてリズム感に富んだ日本語。流れるように続くお話に興味を抱いたのは、予想どおり3歳になる姪っ子のほうだった。こういうシンプルなお話は、小さな子に持ってこい。娘は1回きりでもう満足という風だったけれど、姪は何度もリクエストを繰り返した。わたしが数回読んだ後、父にも読んでもらっていた。単純さに反応する感性は、この年代ならではなのだろう。妹の部屋に何冊か揃えられていた赤ちゃん絵本を目にして、娘とはもう読むことがないんだと思うとやっぱりさみしかった。
 日本を立つ朝、母が桜ちらし寿司を作ってくれた。夜中に思いついて、朝5時にお釜をかけたそう。混ぜるだけでできてしまう簡単ちらしだったけれど、嬉しいことに化学調味料無添加。塩漬けになった桜がほんのり香る、それは春らしい一品だった。こういう趣は日本ならではだなあ。手軽(パック入り)で気配りされたお料理って、米国じゃあ逆立ちしたって出てこない。
 今回の一時帰国で(日本について)感じたこと――ちょっとしたお料理がおいしい。季節感あふれる演出が多い。(加齢の影響かもしれないけれど)お風呂が気持ちいい。3人だけの小さな同窓会が実現し、大学時代の友だちが恋しくなる。
 娘との別れは、涙模様。帰りの新幹線でひとりめそめそしていたので、東京-成田で学生時代の友人2人に再会できたことは何よりの贈り物だった。感謝。(asukab)

  • 原書表紙は邦訳と異なる

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