あかいかさ

 ずっと読みたいなと思っていた絵本『あかいかさ (海外秀作絵本)』を読んだ。(娘がいないので、ひとりで。さみしいなあ〜。)
 憧れていた絵本は、縦17センチ×横13センチの手のひらサイズ。赤い傘というタイトルだけど、表紙の色はサーモンオレンジで、本文中の傘もピンクがかった赤という優しい色合いだった。
 「ふるのかしら、ふらないのかしら」――。迷っていた女の子は結局赤い傘を持ってお出かけ。すると雨が降り出して、いろいろな動物が雨宿りにやってくる。(ここは数が登場して、子どもが喜ぶところかな。)子犬が1匹、子猫が2匹、にわとり3羽にこうさぎ4匹……で、数は1から4まで。次に、子羊1匹、やぎ2匹、こぶた3匹、こぎつね4匹。傘がどんどん大きくなっていくところは、何だか不思議なおとぎ話を読んでいるような気分にもなったりして。
 イラストがちょっぴり素人っぽくて、そこがまた手作り風ですてきだった。作者のブライトは、「目に見えるものをスケッチするのでなく、心に感じるものを見る」と言っている。だから、何気なくてもほんわか温かな作品になっているんだ。読み終え、心が満ち足りた。
 目に見えるものはいずれ消え去るもの。目に見えないものこそが永遠だから、絵本は時間を越えてゆく。
 邦訳も原書も書影がなくて残念〜。(asukab)