一筆書きが誘う、対話絵本

 先日、コルデコット賞オナー受賞作『Seven Simeons*1を読んだとき、表裏中表紙に描かれた一筆書きの繊細なイラストに魅せられた。息子が興味を示し、そういえばわたしも子どもの頃、夢中になった時期があったなあ、なんて思っていたら書店でおもしろい新刊絵本に出会った。
 その名も『Follow the Line』(邦訳『せんをたどって (講談社の翻訳絵本)』)。表紙から始まって裏表紙まで、すべて1本の線で描かれる絵本である。街や通り、車、人、海、森、家など、小さな子どもに身近な場所が巧みに一筆書きで表され、へえ〜と関心。さらに、「トラックには いくつのにもつが のっているかな?」とか「こうもりの 数を かぞえてみよう」、「とけいは いくつ ある?」などの数える質問がアートの中に組み込まれ、指でなぞりながら、描かれた対象に親しめる優れもの絵本だった。質問がきれいにアートの中に溶け込んでいて、自然。楽しくアートと数で遊べるところがいいなあ。(asukab)

せんをたどって (講談社の翻訳絵本)

せんをたどって (講談社の翻訳絵本)