The Room of Wonders 不思議ねずみの人生指南

 もしかしたら、今年1番の出会いかなと思える絵本に出会った。哲学的で、ちょぴり切なくて、個人的に人生の指南書となる作品である。
 『The Room Of Wonders』の主人公は、ガラクタ集めの大好きなピウス・ペロシというねずみ(ラット)。変わった形の葉っぱや、小枝、かにのはさみやら、鍵や配達されなかった手紙など、森や海岸、街角で、さまざまな物を拾い集めていた。家には、壮大なコレクションを飾る部屋がある。珍しい収集品を見ようと訪ねてくるお客たちはみな、壁いっぱいに陳列された品々を目にして驚きの声を上げた。でも、その中でラットが1番大切にしているものがただの石ころと知るとみな、「こんなもの、どこにでもあるじゃないか」と口々に酷評した。ガラスケースに厳かに収められた灰色の石っころは、最初に拾った思い出深い一品。ついにラットは石ころを捨ててしまうが、それ以来、珍品収集は彼にとり何の意味も持たなくなった。
 うっすらと着色された優しげなイラストが、ラットの気持ちを上手に表現している。ページから流れてくる空気に素直に共感でき、ひとりでうんうん頷いていた。コレクションの部屋は、それは圧巻。探し物ゲームができるので、子どもにとってお気に入りのページになるだろう。ただ作品をじっくり味わえるのは、どちらかといえば大人かな。中世っぽい背景や訪れるお客の風貌がシュールで、子ども風味ではない。(息子は喜びそうだが。)不思議の国からやってきたようなラットも、アートに通じていそうで洗練された魅力を放つ。
 大切な1冊。人生、何かを見失いそうになったとき、何度も開く絵本だと思う。
 プレイオフ――。息子は、セカンドとして出場。勝ち越しツーランにつながる右前打で出塁し、勝利に貢献。ほっ。4−6−3併殺も、勝ち運をこちらに引き寄せた。ナイスプレー! ひやひやだったけど……。課題は、速球の後のチェンジアップをどう打つか。どうも、打ち急いでしまうのだ。ゴー! ドジャーズ!(asukab)

The Room Of Wonders

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