ひとりで読めるよ! 2006年の5冊

 ガイゼル賞は、米国内で前年出版された優れたビギニング・リーダーズに贈られる児童文学賞である。ドクター・スースとして知られるセオドア・スース・ガイゼル氏の功績をたたえ、米国図書館協会(ALA)が2006年から設置した。
 ビギニング・リーダーズ(Beginning Readers)とは、つづりと発音の関係(Phonics)を理解した子どもたちに、文章に親しんでもらおうと編集された基礎読本のこと。単語を読み始めた子どもがひとりでお話を読み進められるように配慮され、簡単な語彙とストーリーからなる。また、本に触れると同時に読み向上の目的があるため、出版社によって異なるが、作品はレベル1から3ないし4の段階別に分けられる。レベルに合わせて言葉の選択、語数、内容が決まり、ストーリーは簡潔な文章で表現されることが多い。
 対象はプレスクール、幼稚園から2年生ぐらいの子どもたち。自分の読めるレベルを選び、個々で本が楽しめる。「ひとりで読める!」という行為がたまらなくうれしいので、リーダーズを音読するときの姿はみんな誇らしげである。
 代表的なビギニング・リーダーズといえば何といっても、ミナリックの『Little Bear (I Can Read Level 1)』(邦訳『こぐまのくまくん (世界傑作童話シリーズ―はじめてよむどうわ 1)』)シリーズとローベルの『Frog and Toad Are Friends (I Can Read Level 2)』(邦訳『ふたりはともだち (ミセスこどもの本)』)だろう。うちの子どもたちも夢中になった。時代を超えた傑作おはなし集と言っていい。この2つはビギニング・リーダーズとして確固たる地位を築いており、低学年の教室には必ず置かれている。では、この次にくるリーダーズは何か。主人がよくすすめていたシリーズは初年度の今年、ガイゼル賞を受賞した「ヘンリーと犬のマッジ」シリーズだった。パチパチパチ! どのリーダーズにもいえることだが、お話自体、平明な場合が多いので、イラストに力のある画家を起用すると見違えると思う。そこが、くまくんシリーズ、がまくんとかえるくんシリーズとの違いかな。子どもたちはひとりで読めるだけで、大満足なのだと思うけれど。
 出版社によってPre-K1から始まり3(4段階)で終ったり、1から始まり3(3段階)、あるいは1から4(4段階)だったりと表示の仕方が異なるが、簡単にビギニング・リーダーズの段階別特徴をまとめてみた。
 判の大きさは、ほとんどのハードカバーが約23センチ×15センチ。ペーパーバックになると、これより少し小さめになったりする。(asukab)

  • レベル1(プレスクール・幼稚園)単語が読める=同じ言葉の繰り返し、親しみのある単語と表現、絵からヒントを得る
  • レベル2(幼稚園・1年生)文章を読み始める=短い文章、単語の数が増える、簡単な会話が入る
  • レベル3(1年生)=お話が少し複雑になる、さまざまな型の文章、段落が入る
  • レベル4(2年生)=単語が豊富、起伏に富んだ展開、チャプターブック(章で区切られるお話集)