The boy who loved words

 息子と『The Boy Who Loved Words』を読んだ。彼は「ふ〜ん」という感じだったが、わたしが「うんうん」と夢中になる。教養、アートとは何かを伝える、少々大人風味の絵本。
 セリグは、言葉集めが大好き。自分の好きな言葉に出会うといつも紙切れに書き込んで、ポケットや靴下に詰め込んでいた。でも、クラスメイトに変わり者と言われ、気持ちが沈む。そんなある晩、夢の中で「おまえに必要なのは、モクテキじゃ」と魔法使いから忠告を受けた。集めた言葉をどうするのか、その目的に気付いたセリグは……。
 言葉の響きを確かめ、自分の声に出し、知でかみ砕き、心に染みわたらせる。一連の行為を心から楽しむセリグは、国語の先生が泣いて喜びそうな生徒である。集めてばかりじゃ始まらないことに気付いた後の姿が幸福感にあふれ、言葉の豊かさ、深さを証明していた。子どもの頃から大切なことが吟味できていたとは、うらやましい限り。
 セリグのコレクションに加わる言葉の紙切れが表紙、見返しを含めどのページにも散っていていて、ひとつひとつ追い始めると止まらない。文章作りで遊べそうだ。巻末のグロッサリーも、とてもよかった。
 夏休みが始まり、息子はゴルフ・キャンプと野球の練習で、一日中、太陽のお友だち。こんがり焼けて帰ってくる笑顔を見て、少しはセリグのように深遠な世界も味わって欲しいな、なんて勝手過ぎるか。(asukab)
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The Boy Who Loved Words

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