ボールのまじゅつしウィリー

 ベッカムフリーキックがきっかけで、『ボールのまじゅつしウィリー (評論社の児童図書館・絵本の部屋)』を読みました。ワールドカップ開催中に読みたいとは思っていましたが、あの左ポストぎりぎりに決めたシュートが、利き足は違えどウィリーのとそっくりで、まさにぴったりのタイミングでした。
 映画でも本でも、スポーツものの条件は「勇気と希望」を与えてくれること。わかっていても作品に触れるうち自然と元気が出て、さわやかな気分にさせられる。筋書きが見えていても、心が豊かに反応している。そんな条件を120%満たしているのが、このウィリーの物語です。
 サッカーシューズも持っていないし、試合にも出たことのないウィリーは、それでもサッカーが大好き。一生懸命練習に励んでいます。ある日、不思議な少年といっしょにパス練習をして、彼の靴をもらいました。それをはくと、魔法がかったようにドリブルしてシュートを決めることができ、びっくり。こうしてウィリーは、初めて試合に出場することになるのです。
 中学生になった息子が「この絵本、いいよね」と満足し、今でも楽しんでいます。彼の心を明るく満たすこの魅力はいったい何なのでしょう。主人公のウィリーはサル、いかつい体つきのほかの選手たちはみなゴリラ。シュールな登場人物たちが、サッカーの魅力を振りまきながら、パス、ドリブル、シュートなど、刺激的なシーンを見せてくれることでしょうか。
 小さな少年がサッカーを通して成長してゆく過程は、親として大きな励みになります。自信を持ってボールを追うウィリーの姿は、息子にとっても忘れられない存在になっています。(asukab)

ボールのまじゅつしウィリー (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

ボールのまじゅつしウィリー (評論社の児童図書館・絵本の部屋)