THELONIUS MONSTER'S SKY-HIGH FLY PIE

 気持ち悪くておどろおどろしいけれど、かわいくて愉快。主人といっしょに『Thelonius Monster's Sky-High Fly-Pie』を読み、子どもに受ける!と互いに相づちを打った。怪物セロニウスが、ハエパイを作るお話である。
 食したハエの味が忘れられず、ハエパイを作ろうと決めたセロニウス。ハエが飛んでいかないようにとパイ生地にシロップ、お砂糖、はちみつと糊をまぜたクリームを塗り、さっそくハエ探しに奔走する。馬、犬、猫、牛の近辺からハエを失敬し、ゴミ捨て場、下水溝、肥料からたんまりと捕獲。べたべたのパイ生地にハエを敷き、友人知人、家族に食べてもらおうと招待状を書いた。
 脚韻を踏んだリズムがまず傑作。黒のペン画に草色の着色がよく映え、栄えあるハエパイ作りを目指したセロニウスの心意気が軽やかに伝わってきた。このハエパイ、実は焼くのを忘れてしまったので、とんでもない事件が起きるのだけれど、ここがまた笑えてしまう。想像するだけで、ぞぞぞ〜、でも、くすくすくす……の展開。作者は民話収集に携わる人なので、こういう作り話ならお手の物という印象だった。
 主人は、脚韻が『There Was an Old Lady Who Swallowed a Fly (Caldecott Honor Book)』を想起させると言っていた。(asukab)
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Thelonius Monster's Sky-High Fly-Pie

Thelonius Monster's Sky-High Fly-Pie