Homes

 『Homes』は、台湾の絵本。ページを開くとまず、静かに語りかける声が伝わってくるような感じを受けた。詠われたあおむし、蝶々、小鳥たち……は、しあわせもの。みんな「おうち」を持っているという自然界の姿が、子どもに無条件の安らぎを与えている。ここでは与えたものも、与えられたものも、みんなしあわせなのだ。
 作者のヤン・ホアンは、1930年生まれ。24歳で夭折した。台湾の児童詩の先駆者で、今でも多くの詩が小中学校の教科書に採用されているという。いったい、どんな人だったのだろう。こんなにやさしい詩を詠むのだから、感性の研ぎ澄まされた人だったに違いない。自然の摂理を見つめるやさしいまなざしは、時代や場所を越えるものなのだとあらためて感じた。言葉とぴったりの呼吸で描かれたイラストも、やさしさと安らぎに満ちている。
 邦訳『きみのうち、ぼくのうち (海外秀作絵本)』が出ていて、びっくり。日本語で読むと、懐かしい匂いがするんだろうなあ。(asukab)

きみのうち、ぼくのうち (海外秀作絵本)

きみのうち、ぼくのうち (海外秀作絵本)