Walk On!: a guide for babies of all ages あるいてごらん! はじめのいっぽ にゅうもんえほん

 何か新しいことを始めようとするときには、普段以上に大きなエネルギーが要るものだ。波に乗っているときならその大きさなど何も感じず、無意識のうちに思った以上の力が発揮でき自分でも驚くほどである。逆に、何か支障をきたしているときは、自分の力を信じようと思ってもそれが難しい。たやすく信じられないところがまた欠点に思え、小さな一歩を踏み出すこと自体が、とてつもないエネルギーに感じられてへたばってしまう。この一歩さえ踏み出せたら――。どんなにぶざまでも、「こと」は動き出すのだけれど。
 巷で評判の絵本『Walk On!: A Guide for Babies of All Ages』を読み、副題の意味におおいに納得した。これは、赤ちゃんの歩行指南絵本なのだけれど、同時に十分人生指南書になりうる内容なのである。「つかえるアドバイス! ありがちなおとしあな! おまけに、チェックリストつき!」なんて裏表紙に記してあり、赤ちゃんをカスタマーにしながら実は大人たちの「はじめの一歩」も応援しているのだった。「いちにちじゅう、すわっているのに あきちゃった? じぶんのあしで たってみたいと おもったことがある? それなら、あるきはじめなくちゃ!」とは、折り返しにある本作品紹介文。言葉かけは赤ちゃんに対してなのに、それが同時に大人への励ましにもなっていて、なんと賢く作られた絵本かと感動しばし。
 淡いレモンイエローと、ちょっぴりレトロな感じのする赤ちゃんの姿が、みんなの「はじめの一歩」をやさしく勇気づける。イラストにも言葉にもいやされる、優れものの絵本である。(asukab)
amazon:Marla Frazee

  • 四隅に影が映っているけれど、表紙は白

Walk On!: A Guide for Babies of All Ages

Walk On!: A Guide for Babies of All Ages