It's My School 兄妹のやりとりにほっこり

 妹兄関係を描いた絵本『It's My School』を読み、息子と娘にそっくりで驚いた。彼女が小学校(キンダー)に入学した年、彼は5年生。娘はお兄ちゃんが大好きなのに、息子のほうはずいぶん疎ましがっていた。絵本に描かれる光景もそんなところから始まる。
 小学校(キンダー)入学を迎え、妹のアリスはうれしいけれどちょっぴり不安。めんどうを見るように言われたお兄ちゃんのトムは、自分の学校生活が邪魔されそうで初日の朝から不機嫌だった。「そんなふざけたもの、学校に持っていけないんだよ!」。テディベアを抱えたアリスに向かってどなるトム。そこでお父さんは「トムだって同じ年の頃、かえるのホピットを学校に持っていったんだよ。ぬいぐるみを離せなかったんだ」とやさしくアリスに話した。学校ではクラスメイトが、「妹、どこ?」と聞いてくる。ますます、むしゃくしゃするトムだったが……。
 10代の入り口に立つと、自分が小さかった事実を忘れがちになるらしい。でも、誰だって数年前の幼少期を記憶の彼方に葬り去ることはできないのだから、一番身近な小さな存在を愛しく思う気持ちは必ず持ち合わせている。妹に邪魔された息子はよく、「もう! やだ!」とふくれていたけれど、彼女のおかげで大笑いして「楽しい!」と言っていたことも多々あった。
 お話としては「ただそれだけ」の関係を描くだけなのだが、親からするとほっこり心の和む絵本である。兄を慕うアリスの無邪気さがかわいい。(asukab)
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  • 英国の学校って、みんな制服だと思っていたので意外

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