The Adventures of BERT バートさんの大ぼうけん

 『スノーマン (児童図書館・絵本の部屋)』と『ゆかいなゆうびんやさん―おとぎかいどう自転車にのって』の作者コンビによる絵本と聞いたら、やはり手に取る以外にないんじゃないかなあ。英国を代表する絵本作家二人が生み出した『The Adventures of Bert』(邦訳『バートさんの大ぼうけん (児童図書館・絵本の部屋)』)の主人公は、のんびり気の優しいバートさん。奥さん、赤ちゃんのいるお父さんなのだけれど、なぜか大冒険の中で描かれる姿は男の子だ。しかも大冒険と言えど出てくる場面は、日常のちょっとした一こまばかり。ときに和やかに、ときにずっこけてバートさんを投影するスタイルである。予想どおり、ゆったりと英国風の笑いを誘う味わい深い一冊だった。絵本には珍しい五章による構成も、お茶の間劇場の雰囲気をかもしていると思う。
 米国の子どもたちに受けるかなと少々心配していたら、娘は「もう一回読んで」のリクエスト。さらには「これ、大〜好き。部屋に飾りたい」と読後、うれしそうに表紙を眺めていた。ふ〜ん、なるほど。のんびりとしたテンポ、場面の親しみやすさ、イラスト細部の演出、読者参加型の工夫――小さな子どもたちの視線で彼らの心をつかんで離さない術は、勝手知ったる実力派ならではのなせる技だった。派手さはないのに、読めば読むほど独特の風合いを放つ。英国絵本、あっぱれ! かな。英国文化を知り得ている人に。(asukab)
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  • スノーマン+ゆかいなゆうびんやさん=バートさん

バートさんの大ぼうけん (児童図書館・絵本の部屋)

バートさんの大ぼうけん (児童図書館・絵本の部屋)