Keep Climbing, Girls 女の子を応援する詩の絵本

 『Keep Climbing, Girls』は、アフリカ系米国人の俳優で、詩人、脚本家でもあったBeah E. Richards(1920-2000)が1951年に書いた頌歌にダイナミックなイラストをつけた詩の絵本である。女の子の平等を手に入れる唯一の方法は、一番高い木のてっぺんに登り詰めることだと謳っている。詩の背景には、ミシシッピ州での生い立ちがある。「下のほうは込み合っているから、とにかく上を目指すこと」――家訓は作者の活力となり、演技や詩、ひとつひとつに表れた。
 上の方が、遠くまでよく見えるものね。下りてきなさい!と心配する大人たちの声をよそに主人公の女の子はどんどん上を目指す。共感。ここまできたら、もう上にいくしかないもの。こんなに広い視野を手に入れたら、もっと上から見渡すしかない。
 表紙の印象から社会的劣勢を振り切るための「がんばりなさい」を謳う絵本なのかと思ったら、そうではなかった。自由とは何かを教えてくれる絵本である。不透明水彩の大胆な筆さばきも、自由の心地よさを率直に伝えている。(asukab)
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  • 木立を吹き抜ける風がわたってくる

Keep Climbing, Girls

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