Fletcher and the Falling Leaves こぎつねフレッチャーとおちば
朝夕のひんやりした空気が、紅葉を連れてきた。大きく息をして、体全体を甘い香りにゆだねてみる。この季節だけの色と香りは、秋の魔法――。
人間の場合、赤ちゃんのときから何度も秋を体験し、そのたびに「きれいでしょー」と大人たちから語りかけられる。だから赤ちゃんはきっと、すべての新しい出会いと同様に、繰り返し、繰り返し、そのまま秋を受け入れているのかなと思う。子どもたちの様子を振り返ってみても、そんな感じがする。(息子だったかな。紅葉を見て感動していた姿を思い出した。)
でも、『Fletcher and the Falling Leaves』(邦訳『ファーディとおちば』)のこぎつねフレッチャーは違った。何しろ秋の到来は初めてでまったく知らないことだったから、葉の色が変わり、散り始めた木の様子が心配でならない。葉っぱは木の持ち物だからと、落ち葉をいっしょうけんめい元に戻そうとした。
この絵本には、フレッチャーの初めての秋が描かれる。イラストが、どことなく日本の童謡絵本のよう。叙情的で、人恋しい感じ。最後にすてきな贈り物があり、この秋一番の絵本に出会えたかな、と心がほかほか。懐かしくて透明感のある、きれいな絵本。(asukab)
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Fletcher and the Falling Leaves
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おまけ 紅葉の原因
気温が下がると葉の活動がにぶり、葉の柄の元に裂け目ができる。養分が通りにくくなると葉に糖分がたまり、赤い色素ができる。さらに気温が下がると緑色色素が衰えて、隠れていた赤、黄、橙色などの色素が見えてくる。裂け目がさらに深くなると、落ち葉になる。
やっぱり「甘い香り」には「糖分」という秘密があった!