しあわせな ふくろう

 しあわせそうなふくろうの夫婦を見て、食べて飲んでけんかばかりしている農場の鳥たちは不思議に思った。どうしてけんかもせず、いつもしあわせなのか。さっそく理由を聞きにいくと、夫婦は自然の恵みに感謝する四季の過ごし方を教えてくれた。
 こんな風にして『しあわせなふくろう (世界傑作絵本シリーズ)』には、「しあわせ」な日常の秘訣が語られる。それは誰にとっても、もっとも基本的で、至極まっとうで、すてきな生き方だ。ところが現代社会の投影とも思える象徴は、それを聞いた鳥たちの感想に現れた。「なんてまあ、ばかばかしい!」「そんなことで、しあわせになれるはずが あるもんか!」。こういう反応を聞くと、しあわせとは各自の選択なのだとしみじみ理解ができる。
 四季の移り変わりを、心行くまで楽しむふくろうたち。でも、本当のしあわせの秘密はその手前にあるだろう。彼らは仲睦まじい夫婦である。正しい相手にめぐり合うこと、理解しあえる相手と家庭を築くこと――人間の幸福の第一歩は、しあわせな男女の関係から生まれることが示されている。これは最近主人と話したばかりの話題だったから、納得だった。子どもにしても大人にしても、愛される喜びの感じられないところにしあわせは存在しないものね。ふくろう夫婦の生き方を見て、あらためて根本的な幸福のあり方を確認した。
 オランダ民話は、1966年初版の復刊絵本。書影がなくて残念〜。秋口から初冬に読むのがぴったりだと思った。(asukab)
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