すきっ

 絵本『すきっ』*1と出会い、主人公の女の子と対面して、昔の自分を思い出したり、娘の将来と重ね合わせたりと、とっぷり心地よいひとときに浸った。ほっぺがまんまる、ショートカットの女の子はグレーのタビー猫と暮らしている。「ぽわーん」「ふわーん」とした「すきっ」の気持ちに抱かれて、日々が過ぎていった。
 「素直さ」ほど人を魅了する「心の形」はないと思うけれど、どうだろう。無垢な気持ちが、女の子のしぐさ、表情、お洋服、猫ちゃんとのやりとりから感じられて、主人公の存在にどんどん魅せられた。かわいいって、こういうことを言うのよね。どんなに年を重ねても、「好き」という気持ちを持ち続けていたいなと素直に思えたことは自分自身、新鮮な驚きだった。対象は人に限らず、自然だったり、物だったり、きっといろいろだろう。「好き」の気持ちは、柔らかな心を持ち続けるベースなんだと思った。 
 作品は、贈り物用のパーソナル絵本。でも、わたしは自分を振り返るために開きたいな。四十路を過ぎて人生が見えるようになってきた今だからこそ、「素直さ」を垣間見るのもいいかな、と。それに布や新聞などの実写コラージュを使ったイラストが、またキュートなのだ! 女の子のセーターと靴下がさりげなくページごとに変わるので、お洒落さんに贈るのもいい。赤い帽子を編み上げる女の子がふんわり可愛くて、秋冬向けの絵本。今後も、marini*monteanyさんの絵本が楽しみです!(asukab)
marini monteany bird school
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