365 Penguins 365匹のぺんぎん

 うわあ、大きな絵本! 縦横45センチ×35センチくらいだろうか。黒、オレンジ、アイスブルーの版画配色が大胆と思いきや、元日からペンギンが一匹ずつ家に送られてくるというストーリーラインも破天荒じゃないか。最初は「かわいいー!」なんて喜んだ一家だけど、翌日に一匹、その翌日にまた一匹とペンギンが届けられ、……一週間が終ると七匹。一月が終ると三十一匹。二月が終って31+28=59だから五十九匹。三月一日には六十匹! 一匹が一日で食べる魚の料が、2.5パウンドだから……食費を換算するととんでもない数字になっていく。掃除も管理も大変だ。お父さんは一ダースごと引き出しにいれる整理棚を作ってくれたけど、それももう足りずにてんやわんやの大騒ぎ。ぺんぎんの送り主は、いったい誰? 
 大受けしながら『365 Penguins』(邦訳『365まいにちペンギン』)を読み、ページを閉じてなんて賢い絵本だろうと感心した。数、単位、曜日や月数に加えて、生態系まで意識させる絵本なのだから。もちろん遊びながらなので、子どもは当然「無意識」のうちに夢中になっている。見かけも中身も、ただ者じゃなかった。フランスの絵本ということで、同国の教育スタンダードを垣間見たような気がする。
 無表情のペンギンたちがコロコロしていて、ご愛嬌。一家が大騒ぎしているかたわらで、邪魔でも憎めないキャラクターのいい味を出していた。冬の夜長にぴったりの絵本。(asukab)
amazon:Jean-Luc Fromental
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  • このペンギン絵本にジャケットカバーはなく、ぼこぼこの紙質がむき出しになっている。なんだか、大きなスケッチブックを開くようだった(英語版)。そういえば同版画家による『Zoo - ology』も巨大絵本

365まいにちペンギン

365まいにちペンギン