Frankenstein Makes a Sandwich フランケンシュタイン、サンドウィッチを作る

 『Frankenstein Makes a Sandwich』は、表題「フランケンシュタイン、サンドウィッチを作る」に始まって、全十九編の詩からなるユーモア+ペーソスに富む詩集絵本である。フランケンシュタインがサンドウィッチを作ろうとしたら材料がまったくない。お隣さんからわけてもらおうと伺ったら、村の衆から「出て行けー!」と追い立てられた。おまけに、トマト、豚、じゃがいも、カビのはえたパンなどをドサドサ投げつけられ、最初は悲しんだフランケンシュタインだが、いや、待てよ、こりゃサンドウィッチを作るのにもってこいじゃないか! ということで、できあがりは表紙のとおり。
 このほかの登場怪物は、海怪人、オペラ座の怪人、魔女、狼男、透明人間、ドラキュラ、ミイラ、ビッグフット、ノートルダムのランチタイム(それまでの登場怪物が勢ぞろいする詩)、ジキルとハイド、ゾンビ(ここのみ漫画仕立て)、ゴジラ……。作中本あり、コミックあり、フランケンシュタインやドラキュラの子どもが出てきたり、手を変え品を変え、怪物たちの個性がにぎやかに描写される。それぞれ土台になった作品、背景を知っていればさらに楽しめるので、その意味では大人に受けそうだ。
 最後に「ゴジラが私のホンダにウンコした(Godzilla Pooped on My Honda)」というタイトルが日本語で表された詩で終るのだけど、これは理解に苦しむなあ。ゴジラやギドラが東京で対決アクションを繰り広げる場面を背景に、おもちゃの車の上にチョコレート色のどろんとした物体が置かれ、ショートカットのめがねをかけたアジア人女性が「うんこ?」とつぶやいている合成写真。詩の内容は、こんなにひどいことになっちゃったので、もう東京には行かないと結ばれるのだが、コミックカルチャーに影響を受けた作者のお遊びフィクション炸裂の感があった。
 力量のある画家と見え、アクリル、ペン、水彩、写真などさまざまなタイプのアート表現が楽しめた。わたしはオペラ座の怪人エリックの描写が印象に残る。息子も「絵がかっこいい」と感想をもらした。朗読のうまい人がノリまくって読めば、詩のパワーからして想像もつかないほど盛り上がると思う。(asukab)
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  • 目次でそれぞれの詩がレストランのメニューを見る趣向で紹介される

Frankenstein Makes a Sandwich

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