The One and Only きみがとくべつ

 九月の新学年。クラスの転入生バブルスちゃんは、なにからなにまでオパールちゃんのまねをしたがる。洋服から、遊びから、それこそ何でも。ハロウィンの仮装も、収穫感謝の手作りカードも、クリスマスに切り抜いたスノーフレークスやバレンタインのコブタ天使カードまでも。先生は、まねをしたバブルスちゃんをほめる始末で、友だちのダフネちゃんはいらいらし始める。まねをして、クラスの人気者になって、おまけに先生にほめられるなんて! トゥートとパドルは、そんな様子をあたたかく見守った。こうして学年末の学芸会を迎えたコブタちゃんたちは……。
 あらあら、トゥートとパドルの新作『Toot & Puddle: The One and Only』は、女の子の心の機微がテーマのよう。ということは、読者対象は小さな子どもより小学中学年から中学生ぐらいになるのかな。いやいや、これは大人の世界にも当てはまりそう。舞台はコブタの小学校なのだけれど。
 誰かからまねをされて、「いやだな、やめて欲しい」と感じる心と、「それがどうしたの、させておけば」と感じる心。オパールちゃんは最初、あまりいい気持ちがしなかったのだけれど、彼女にはそんなことよりもっと大切なことがあった。絵本のメッセージは、「素直な気持ちに従って好きなことを一生懸命がんばったら、最後にすてきなことが待っているのよ」ということかな。些細なことに心を奪われず、しっかり自分の道を歩みなさい――何だか孔子の教えのように響く! (asukab)
amazon:Holly Hobbie

  • 九月から五月までの学校生活が、秋冬中心に描かれる。なので読むとしたら、今の季節がぴったりかも

Toot & Puddle: The One and Only

Toot & Puddle: The One and Only