ONE POTATO, TWO POTATO じゃがいもひとつ、じゃがいもふたつ

 『One Potato, Two Potato』は『Two of Everything: A Chinese Folktale』(邦訳『なんでもふたつ (児童図書館・絵本の部屋)』)と同様に、魔法のなべ(かめ)の中から、入れたものが何でも二倍になって出てくる民話絵本。そうとは知らず読み始め、娘が「マジック・ポットのお話!」と目を輝かせた。算数の時間に「倍」の勉強をしたばかりだったから、絵本をクラスに持っていくと喜んだ。
 でも、わたしは中国版の方が好き。ヨーロッパ版の新しい方は語りが冗長でその分味わい深いのだろうが、単純・簡潔好きのわたしとしては、前者のほうがわかりやすく子どもたちに向くと感じた。イラストも親しみやすいし。表紙の比較からもわかるように、こちらは大人テイストである。慎ましやかに質素な老後生活を送るおじいさん、おばあさんの姿に哀愁が漂い、読み終わった後、なんだか背中が寒かった。美しい絵なのだけど、ちょっと寂しい。
 作者の献辞にアイルランドを想起させる記述があるので、悲哀さが納得できた。それを思うと、画家は背景を深く理解した最高の仕事をしたことになる。(asukab)
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  • 収穫のお話でもあるから、読むには夏から秋にかけてがいいのかな

One Potato, Two Potato

One Potato, Two Potato