Christmas in the Trenches 戦場のクリスマス

 1914年、第一次世界大戦の勃発は、クリスマスまでに終結するだろうという多くの予想に反し長引いていた。凍てつく戦場でクリスマスを迎えた独英兵士たちが、聖夜をどう過ごしたのか。すでによく知られた史実だと思っていたところ、意外にも息子の記憶には残っていなかった模様。カウチに置いた『Christmas in the Trenches』を音読の宿題に選び、驚きの表情で約一世紀前のクリスマスを振り返っていた。殺戮の続いた戦線でクリスマスキャロルを歌い、サッカーをして心を一つにしたドイツ、イギリス兵たちの気持ちに触れるだけでも、絵本を開いた価値があったというものだろう。
 同じことがイラクやアフリカでも起こるだろうか。独英は、同じヨーロッパ内のキリスト教国。イスラム国家と非イスラム国家同士、異なる思想を持つ者同士の相互理解は、百年前のできごとのようにいかないかもしれない。残念なことだけれど、簡単でないことは素人にもよくわかる。
 息子や家族が戦線に向かうなど、考えるだけで生きる目的を失ってしまいそうだ。今、自分にできることは平和を祈り、争いの犠牲となった移民子弟といっしょに時間を過ごすことだとあらためて確認した。(asukab)
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  • 厚く塗りこめられたイラストから画家の筆使いがまっすぐに伝わり、まるで映画でも見ているかのような錯覚が起きる。作品には、八十年代に同エピソードを広めた歌のCD付き

Christmas in the Trenches

Christmas in the Trenches