Oscar's Half Birthday オスカーは6か月

 秋晴れのある日、パパ、ママとミリーは、オスカー六か月の誕生日をお祝いしようとピクニックに出かける。都会の一アパートに暮らす一家は工場地、鉄橋の下を進み、丘にある市立公園を目指した。紅葉の美しい森を抜けると、一面に草地が広がる。赤ちゃんのオスカーは、公園にいた人々みんなから祝福を受け、たちまち人気者になった。澄んだ秋空の下、ハッピーバースデーのメロディーが穏やかに流れた。
 赤ちゃんの表紙から、てっきり半年繰り上げたお誕生日絵本なのかと思ったのだが、『Oscar's Half Birthday (Start with Science)』はお誕生日をバックボーンにして、ある幸せな家族と地域の人々の交流を描くヒューマンドラマ絵本だった。 
 お母さんがアフリカ系、お父さんがヨーロッパ系。アーバンライフを送る家族の姿は、アパートの一室など居住環境にも表れる。グラフティと呼ばれる落書きが建物のあちこちに見え、うちの学校、近所と同じじゃないかと思ったり。でも、小さな赤ちゃん、オスカーの存在をお祝いする気持ちは、場所は変われど普遍である。「お誕生日おめでとう」の気持ちは、溢れかえる物が少ないからこそ、強く伝わるだろう。公園にいた人たちがみんなでお誕生日の歌を歌うところは目頭が熱くなった。オスカーを想う人々の温かい気持ちと家族の幸福が、強く強く感じられたから。何気なく描かれた日常に、ハートがたくさんつまった秀作絵本。(asukab)
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  • わたしにとり、もっとも理想的な家族像が描かれる

Oscar's Half Birthday (Start with Science)

Oscar's Half Birthday (Start with Science)