Mr. and Mrs. God in the Creation Kitchen 神さま夫婦のゆかいなキッチン

 「神さまって、どこにいるの?」「天国」―「天国って、どこにあるの?」「空の上かな」―「ふーん」。こんな会話が最近あったところに、娘が学校でのかわいいエピソードを報告してくれた。「先生がね、『雨ってどうして降るのか、みんな知ってる?』って聞いたら、モリーナが『神さまがシャワー浴びてるんだよ』って言って、みんな『わあー!』って大喜びだったの」――。子ども心にいろいろなイメージが飛び交う中、神さまのシャワーは彼女にも新鮮で大受けだったようだ。
 日々絵本を読んでいると不思議なことに、その折々で日常にも同じ話題の飛び出すことがよくある。今日の「神さま」も然り。なので、夜にはさっそくかなり前に借りてきていた『Mr. and Mrs. God in the Creation Kitchen』を読んだ。天地創造が愉快なキッチンで行われたという、ユニークで新しい発想のお話だ。まだ子どもたちと読んでいなかったし、返却日が迫っていたので、パーフェクトのタイミングではないか!
 オーブンから取り出された太陽や地球に始まって、失敗作だったという恐竜作り、きれいなお魚作りと続き、地球は次々に動物たちでいっぱいになる。オーブンで星をローストするというのだから、このキッチンは文字通り宇宙的な広がりを持つ空間である。筆致に勢いのあるイラストが大胆でかつ幻想的とあり、空想キッチンでの創造は数億光年のかなたから見守るような不思議な感覚を携えていた。聖書のイメージとはまったく異なるので、娘も息子もページをめくるごと、その世界に釘付けになる。最後はもちろん……。
 キリスト教超保守層の多い南部バイブルベルトあたりでは、神への冒涜ということで物議をかもし出しそう? 聖話はいろいろな切り口から触れることが大切だと思うので、本作品はその目的にかなっていた。(asukab)
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Mr. and Mrs. God in the Creation Kitchen

Mr. and Mrs. God in the Creation Kitchen