One Green Apple 青いりんご ひとつ

 『One Green Apple』を娘と読む。中東から米国に移民してきた少女ファラの気持ちを描く絵本である。
 ファラの米国学校生活二日目は、クラスのみんなといっしょにりんご農園を訪ねる校外学習だった。事情があり祖国を後にしてやって来た新しい国で、文化の違い、言葉の壁を感じていたファラに、まだ友だちはいない。でも、りんごをもぎ、みんなでいっしょに絞り、絞りたてのジュースを味わう農園体験の中で、少女は少しずつ孤独さから解放されていく。
 移民層からなる小学校に通う娘は、ファラの気持ちが深く理解できたようだ。まわりには英語がひとことも話せないお友だちがたくさん。中近東、アフリカ、南米、アジアから、みんなそれぞれに理由を背負い、新しい国にやってくる。言葉の通じない不安さは彼女も日本で体験済みなので、ファラの心細さはそのまま自分の気持ちだと頷いていた。
 それにしても、作者の語り*1のうまさよ! ファラの一人称がそのままわたしにも乗り移り、さまざまな状況を想像せずにはいられなかった。写実画家の力量も、文章と阿吽の呼吸だったと思う。(あのベッツィー・ルーウィン*2の旦那さまと知り、これにもびっくり。今秋、ちょうど当地を訪れていたのだった!)ファラの瞳を見つめるだけで、心が深く揺さぶられた。(asukab)
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  • 青いりんごは、希望の象徴

One Green Apple

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