アルバートの感謝祭
この秋最初のパンプキンパイを焼く。子どもたちの帰宅を待って、三人でおやつに食べた。しっとり甘くて美味しいね。シナモンやジンジャー、クローヴの香りが、深まる秋をあらためて教えてくれた。こうして収穫感謝の準備に取りかかり、あっという間にホリデーシーズン到来で、いつの間にか一年が終るんだなあ、なんてしみじみとする。かぼちゃの味わいとオレンジ色が、暗いシアトルの晩秋にぽってり灯りを燈してくれた。
夜、娘と読んだ絵本は『アルバートの感謝祭』。ニッコリ谷小学校感謝祭の準備を描く、きれいで愉快な絵本である。主人公は、小学校で働く便利屋さん、グースのアルバート。物静かで頼りになる性格なので、PTA会長でおめかしに余念のないのパトシー・ピッグさんからこまごまとお手伝いを頼まれる。テーブル作りに始まって、折り紙アートのお手伝い、会場のそうじ、パンプキンパイ――原書では、パンプキンピザ*1――の準備と一方的に、それはそれは次から次へと。これでは一番大切な畑の収穫が何もできない。さすがのアルバートも堪忍袋の緒が切れそうになり……。
それでも最後は、楽しく賑やかな感謝祭が実現する。この見開きにうっとり見入り、収穫の秋っていいなと食事・会食の意味を確かめた。興味深かったのは、PTA会長の手書きによるリクエストの手紙、そして文句一つ言わずそれに応える優しいアルバートが描かれた文字なし四こまショットの二つかな。構成の工夫によりそれぞれのキャラクターが効果的に表現され、おもしろかった。
アルバートさん、お疲れさま。今年もよい感謝祭を!(asukab)
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*1:裏表紙に作り方掲載。珍しいレシピなので、今度作って報告しようかな!