Anatole and the cat アナトールとねこ

 ギャビイ、ギャビイ――この小さな子猫にこれほど魅せられるとは、誰が想像したことだろう。犬のスクーターとも仲良しになり、二匹が寄り添い眠る光景にはハートマークがふわふわ飛び交っている。ギャビイを意識して、彼女と同じ色の猫が登場する『Anatole and the Cat』を読んだ。ここではもちろん、猫は厄介者の役なんだけど。
 チーズの味見役としてデュバルチーズ工場で活躍するアナトールは、フランス中に知られた誇り高きねずみの父さん。ある晩仕事をしているときのこと。工場に猫がいることに気づき、親友のガストンと大慌てで逃げ出した。おかげで普段は正確な指示を書き残すアナトールたちのメモがこの日ばかりは、「まったくおいしくない。かえるのあしをつかうように」「とてもおいしい。きゅうりのたねをくわえること」「さいこうにおいしい。ごみばこにすてるように」などなど、とんちんかんな内容になってしまった。猫のために仕事をやめようかと悩むアナトールは、デュバルさんに手紙を書いた。
 ねずみと猫の永遠に続く関係が描かれたお話だった。最初の作品のほうがよくできたストーリーだと思うけれど、ときどきフランス語で交わされるウィットに富んだ会話がかわいらしくて、これはこれでよしというところかな。お茶目なギャビイもねずみたちの前に出たら、化け物になってしまうのね。(asukab)
 おまけ。きらきら星で歌う、娘作の替え歌:
Gabby, Gabby, little cat
How I wonder where you're at?
Up above Scooter's back
Climbing on the dryer rack
Gabby, Gabby, little cat
How I wonder where you're at?
amazon:Eve Titus
amazon:Paul Galdone

  • アナトールシリーズは二冊ともコルデコット賞銀賞受賞作

Anatole and the Cat

Anatole and the Cat