GOODNIGHT MOON は60歳

 チルドレンズシアターで『Goodnight Moon*1(邦訳『おやすみなさいおつきさま (評論社の児童図書館・絵本の部屋)』)のミュージカル鑑賞。安らかな時間の流れるおやすみ絵本が、いったいどんなパフォーミングアートになるのか。興味津々でドレスリハーサルに出かけ、「これはすごい!」「これはかわいい!」と感嘆、ため息が止まらなかった。
 舞台は、あの緑のお部屋。赤い風船も、ちゃんとふんわり浮かんでいる。この舞台だけでも一見の価値があるなあ。入場したとたん子どもたちの歓声にも似たため息が、あちこちから聞こえてきた。でもこの一場面しかないところに、どう変化を持たせるんだろう。なんとなく想像できたのは、入れ子式で登場する壁の絵に描かれたお話の場面。やはりそのとおりだったのだが、これが上出来なのだ。『The Runaway Bunny』(邦訳『ぼくにげちゃうよ (海外秀作絵本)』)のうさぎ母子、マザーグースの「Hey! Diddle, diddle」の面々(猫、犬、お皿+スプーン、パペットの牛)、三匹のくまが飛び出して賑やかにショーを展開する。三匹のくまたちのタップダンスと椅子取りゲームが愉快でとってもよかった。部屋の小物にもちゃんと役があったり……、ここまでは絵本のとおりだったけれど、おまけは歯の妖精。うさぎの坊やの歯が抜けて歯の妖精(男性!)が出てきたりして、オリジナリティを見せてくれた。特に娘は先週末下の前歯が抜け、妖精から1ドルをもらったばかりだったので、「歯」の場面にどっぷり魅せられたようだ。
 大人だったら、ほんのひとときに起こるできごとがどう広がっていくのか、すごく興味のあるところだっただろう。ふたを開けてみたら、みごとに大人も子どもも心から笑えて安らげるすてきな劇になっていたので、これはまた驚くべき事実として地元新聞アートレビューに迎えられるんじゃないかと思った。
 脚本・作曲はミュージカルコメディ『Angry Housewives』で知られるChad Henryが担当。音楽はピアノ伴奏のみでも、二百人収容の小さな子ども劇場は熱く盛り上がった。最後はしっかり、お眠モード。子守唄が美しかった。
 歴史に残る名作ミュージカルになるとさえ感じたけれど、感動のしすぎ? もう一度見に行きたいと子どもたちも言っていた。絵本誕生60年の記念にふさわしいパフォーミングアートだと言える。本公演は、一月十二日〜三月十日まで。(asukab)
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  • ねずみと猫二匹はパペット。あの明かりの灯ったドールハウスの中が、これまたすてきなのだ!

Goodnight Moon

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