One Zillion Valentines きみとぼくのバレンタイン

 『One Zillion Valentines』は、雑誌ニューヨーカーの漫画家フランク・モデルが描く、ミルトン&マーヴィンコンビ・シリーズのバレンタイン絵本。さらさらっと描かれる軽妙な筆致から、ふむふむニューヨークの風が渡ってきそう。慎重で引っ込み思案のミルトンと元気で好奇心いっぱいのマーヴィンは、どんなバレンタインを過ごすのかな。
 二人の会話に耳を傾けると、彼らのキャラクターがたっぷり味わえる。――「バレンタインは女の子のことばかりじゃないよ、みんなのためにあるんだ。ぼくがパイロットだったら、空に大きく描いちゃうなあ(空には大きなハート型の飛行機雲)」という台詞など、すごくマーヴィンらしい。
ミルトン「誰もぼくにバレンタイン(ここではカードのこと)なんか贈ってくれないよ」
マーヴィン「それは自分が一度も贈ったことがないからだよ。贈らなかったら、何もこないよ」
ミルトン「お金がないんだもの。バレンタインには、お金がかかるんだ」
マーヴィン「買わなくたって作ればいいんだよ。必要なのは、紙とこういう大きなハート!(と言って、ハート型を描いてみせる)」
ミルトン「それなら、ぼくにもできそうだな」……こうして二人はたくさんのバレンタインカードを作り、近所の人々みんなに贈ることにする。 
 心配顔のミルトンと何でもはつらつと行動するマーヴィンのコンビはバレンタインにもいい味をかもす。もらう喜びと与える喜びがほのぼのと描かれ、男の子二人にバレンタインの意味を教えてもらった。ちょっと早いけれど、ハッピーバレンタインの気分。二人が山ほど作ったハートのカードは娘の心をつかみ、読後は予想通り、自分もカードを作りたいと言い出した。(asukab)
amazon:Frank Modell

  • ほのぼのバレンタインなら、この一冊かな

One Zillion Valentines

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