ここは冬の北極

 娘の宿題に北極ぐまや北極きつねが出てきたので『ここは、冬の北極』(原書『Here Is the Artic Winter: Here is the Arctic Winter』)を読んだ。
 ぶるるるるる、冬の北極。この絵本には零下50度の世界に生息する動物たちの厳しい生きざまが、美しいイラストと言葉で語られている。

ここは 冬の北極

 で始まり、ページを追うごとに新しいフレーズが、淡々と加えられていく。

空は 昼も暗く 夜も暗く
寒く 白い世界に 太陽は のぼらない
ここは 冬の北極

 太陽が昇らない時点でわたしはもう苦しいのだが、動物たちは強い。

オオカミは 空にむかってほえ
空は 昼も暗く 夜も暗く
寒く 白い世界に 太陽は のぼらない
ここは 冬の北極

 暗く、寒い世界で生き延びる彼らの強靭さは誰にもまねできない。厳しさの中に美しさがあり、わたしたちはこうして絵本を通して氷の世界を見つめるしかない。詩のようなフレーズの繰り返しが、冷たい静寂と澄んだ空気に響き渡るかのようだった。娘もしんと静かに耳をすました。巻末に、登場した動物たちが勢ぞろいする。
 今度は、白夜の続く夏の北極を訪れてみたいな。(asukab)
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  • ジャケット折り返しにNational Audubon Society, Arctic Program の紹介がある

ここは、冬の北極

ここは、冬の北極