Houndsley and Catina ハウンズリーとキャティーナ 絵本のような小さなお話シリーズ

 ゼルダとアイビー姉妹*1に続き、打ちのめされてしまったのが『Houndsley and Catina』だった。シリーズテーマは、フレンドシップ。友だちのシンボルともいえるがまくんとかえるくん*2は、たとえば部屋の片隅など永遠に「そこ」にいて、わたしたちを見守ってくれるのだけど、ハウンド犬のハウンズリーと猫のキャティーナのお話は小粋な洋画を見ているような感覚を覚える。言い換えると、がまくんとかえるくんはセピア色の写真アルバムをめくるような安らぎを与えてくれる存在で、ハウンズリーとキャティーナは今をわたしたちといっしょに生きる犬猫コンビという感じかな。二匹は映画の主人公になるわけだから、鑑賞する側からすると、ちょっぴり憧れも混じるのだった。役柄は……:

名前 キャティーナ ハウンズリー
種類
性別
趣味 作家を目指す お料理が好き
性格 知性に憧れる夢想家 おっとりしていて家庭的

 シリーズ1のお話は、ちょっとした人生指南書になっている。
 キャティーナは売れっ子作家を目指していた。原稿をハウンズリーに見せると、実はとんでもない駄文家なことが判明するのだけれども彼女は気にしない。一方、犬のハウンズリーはお料理が大の得意。キャティーナやサギのバートに薦められ、コンテストに出場することにした。(第1章)/コンテスト当日、ハウンズリーは緊張して普段の実力が発揮できない。(第2章)/月の光る夜、二匹は自分たちの好きなことについて語り合う。「書いていても楽しくない」「楽しみながらお料理するのが一番」――。(第3章)/会話の節々から身に染みる言葉が放たれ、心が透き通っていくようだった。
 透明感のあるイラスト*3が洒落ているからだろうか。読本というよりは、小さな絵本という印象を受けた。心情を追うとともに、二匹のロハスな生活を垣間見るのが楽しい。夏の芳しい香りがわたってくるような最終章が、とてもきれい。(asukab)
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  • イラストが逸品だと文章が生きるなあ……がまくんやゼルダたちを含めて

Houndsley and Catina

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