The Dumpster Diver リサイクル・アートを描く絵本

 ごみの山からガラクタを掘り出し、椅子やテーブルを作ったり、アートなオブジェにしたり。地元在住作家による『The Dumpster Diver』は、「リサイクル」というシアトルらしい文化をテーマにしたユーモラスな絵本である。ジャンク・アーティスト、スティーブさんと彼を慕う子どもたち三人が、ガラクタあさりの実践と醍醐味を規則正しく教えてくれる。
 アート好きの自分としては「おもしろそう〜」と単純に魅せられてしまう分野。でも実は楽しいことばかりでなく、汚くて危険――ゴキブリに襲われたり、危ない素材が混じっていたり――な側面も(考えてみれば)あるわけで、そこをしっかり伝えているところに好感が持てた。加えて、ユニークな都市芸術だと手放しに褒め称える人ばかりでない事実も、グラウチさんという不機嫌なおばあさんを登場させて隠さずに描いている。
 当地のチルドレンズ・ミュージアムにも飾られていたなあ、こういうジャンク・アート。この路線で家を装飾するなら、それはそれで面白いと思う。し・か・し、もし実践したとしたら、わたしの場合、たぶんさらにジャンクな家にしてしまうような気がする。家人からの文句続出は必至。子どもは喜ぶだろうけれど。
 イラストがなんとなくミニ・グレイ*1ラッセル・エイト*2,*3を足して二で割った感じと思っていたら、やはり(なのか、どうなのか)英国在住の画家だった。茶紙、ノート、新聞、ダクトテープ、バンドエイドなどのコラージュを使用して、ゴミらしさを上手に表現している。このコラージュとキャラクターの表情がミニ・グレイっぽい。(asukab)
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The Dumpster Diver

The Dumpster Diver