おとうとは青がすき

 『おとうとは青がすき―アフリカの色のお話 (世界の絵本)』(原書『Chidi Only Likes Blue: An African Book of Colours』)は、身近な色を通してアフリカの暮らしや文化を知る写真絵本です。お姉ちゃんのンネカが弟のチディに色の名前を教えながら、彼女の日常を紹介してくれます。とにかく写真が美しいので、大おじさんの赤い帽子、ガリというキャッサバいもをすりつぶした黄色い食べ物、緑の椰子の葉、黒壁……と、アフリカの色が鮮やかに映え見ごたえたっぷり。色の魅力と生活の息吹がストレートに伝わり、たちまちに魅せられるのでした。
 モノトーンの冬景色から一転して、色の並ぶパレットを覗き込むような春になりました。色の絵本はないかなと思い巡らせ、ひらめいたのがこの絵本。まだ子どもたちといっしょに読んでいなかったので、今宵ささやかにアフリカへの旅が実現しました。
 彼らの学校にはソマリアやナイジェリアからなどアフリカ移民(難民)が多く、自然に興味も湧いてきます。わたしはちょうどナイジェリア内戦の報道写真をニュースで目にしたばかりだったので、絵本の平和と現実の戦争が重なり合い少しばかり複雑な心境でした。人間の愚かさと絵本の明るさと。虚しさの染みる溝です。(asukab)
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  • 色の名前はすべて漢字でよかったのでは……とリクエス

おとうとは青がすき―アフリカの色のお話 (世界の絵本)

おとうとは青がすき―アフリカの色のお話 (世界の絵本)