The Tale of Pale Male ニューヨークの鷹ペール・メールのお話

 『The Tale of Pale Male: A True Story』は、高層ビルの立ち並ぶニューヨーク・マンハッタンに居を構えた鷹、ペール・メールの実話絵本だ。都会の空に弧を描く勇壮な姿が話題になり、1993年以来、バードウォッチャーたちの熱い視線を浴びていた。絵本ではメス鷹ロラとの仲むつまじい子育ての様子、巣撤去にまつわる事件が取り上げられる。
 ノンフィクションものは事実関係をどう表現するのか、むずかしいところだなあといつも感じる。ここでは5番街927番地に建つ12階建てアパート住人の扱い方。階上に作った巣から食べ物の残骸(ハトやネズミの死骸)が落ちてきて、彼らにとり鷹夫婦の存在は迷惑極まりなかった。巣撤去に関して街に反対運動が広がるなど、悪者に描かれる住人たちの姿が気の毒に思えた。ほんとうに邪悪な表情で描かれているのだもの。絵本を手にしたら、どんな気持ちになるだろう。
 ウィンターのわかりやすいイラストと解説は、小さな子ども向け。実際の写真といっしょに紹介すると、読者の興味はぐんと深まる。(asukab)
amazon:Jeanette Winter

The Tale of Pale Male: A True Story

The Tale of Pale Male: A True Story