Every Friday 父さんといっしょの金曜日

 『Every Friday』に描かれるのは、お父さんと小学生ぐらいの男の子。父子は毎週金曜日の朝、特別なお出かけをします。お母さんと赤ちゃんに「行ってまいります」を言って、目指すは街の小さな食堂。ここで二人は、お決まりのメニュー、パンケーキの朝食を楽しむのです。バスに乗らず通りを歩いてゆけば、生き生きとした街の表情がわかり人々との会話も弾みました。
 ちょっと早起きをして生まれるひとときが、宝物のような思い出になることは言うまでもありません。いっしょに時間を過ごすことが、どれほどかけがえのないことか。父子の風景はニューヨークの朝に溶け込み、パンケーキのような甘くあたたかいぬくもりとなって描かれます。
 これは作者ヤッカリーノが息子マイケルと過ごす金曜日の光景です。なんてすてきな約束ごとでしょう。マイケルが3歳のとき以来、ずっと続けているのだそう。うちはどんなお楽しみをトラディションにしようかな……。回転寿司かな?
 描かれる姿が50〜60年代っぽく見え、作者自身、父親といっしょにこんな朝を過ごしていたのではないかと思わされました。きっと、そうでしょう。時空を重ねる価値観の意義は、人を通して育まれ伝えられていきます。(asukab)
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  • レトロな印象の表紙

Every Friday

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