Ghost Ship 潮風に吹かれ歴史をひもとけば……

 『Ghost Ship』は、久々に息子と読んだ絵本。
 トーマス・フレミングは夏になると、ケープ・コッドの祖母の家で休暇を過ごす。築後200年以上を経た家は海岸沿いに立ち、その昔土地の名士でもあったアンドリュー・ハレット船長が所有していた。ある日、砂浜で古いベルトバックルを見つけたトーマスは、ハレット船長の給仕をしていたという少年サイラス・リッチに出会う。サイラスから当時の話を聞いたトーマスは時を超えて、ハレット船長の生涯を追い始める。
 かもめの声、波の音、潮風の香り――夏の抒情たっぷりの絵本だった。けれども、文章が光りすぎているので、これは「絵本」というより「短編」に仕上げたほうがよかったのでは……とも思う。美しいイラストが説明的になり、文章と絵がぶつかりあっていた。こういう作品は短編で挿絵を添えるだけのほうが、ぐぐっとイメージが広がりそう。
 たとえば年配のライブラリアンの方など、特に読書家のおばちゃま方が「秀作」とため息をもらしそうな作風を抱いている。(asukab)
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Ghost Ship

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