Mystery Bottle おじいちゃんからもらったガラスのこびん

 ある日、突然送られてきたガラスの小瓶。中には、地図が入っている。差出人は、イランに住むおじいちゃんだ。突然風が吹いてきて、男の子は風に乗って街を過ぎ、海を渡り、山を越え、お父さんの生まれた街、テヘランに到着した。そこではおじいちゃんが待っていて、二人は砂糖菓子でお茶を楽しみ、たくさんの話をした。
 『Mystery Bottle (Ezra Jack Keats New Illustrator Award)』は、作者の家族背景を映し出す、ノスタルジックな作品だ。彼女の夫は1978年、イラン革命を前に一人飛行機に乗せられ米国にやってきた。彼を送り出した父親はイランに残り、息子の結婚、孫の誕生を知らされるが、別離から一度も再会することなく孫7歳の誕生日を迎える。絵本に出てくるガラスの小瓶は、7歳になった孫に当てて、今では祖父となった父親が送ったものだった。
 コラージュの地は、どのページも英語やアラビア語で印刷された地図。その上に鮮やかな色の切り絵コラージュが並び、孫とおじいちゃんの出会いを心から祝福する。
 こういうお話は、やはり現実を考えずにはいられない。家族と何十年も会わない別離とは、どんなもの。絵本が明るい色調であるだけに、切ない気持ちにさせられる。(asukab)
amazon:Kirsten Balouch

  • 米国に渡った少年の年齢は、きっと7歳だったに違いない

Mystery Bottle (Ezra Jack Keats New Illustrator Award)

Mystery Bottle (Ezra Jack Keats New Illustrator Award)